
リンパのスタート地点:組織液がリンパ管に入る仕組み
リンパの流れは、実は血液から始まります。体の毛細血管から栄養や酸素を届けるために血液の液体部分が少し漏れ出します。この漏れ出た液体は「組織液」と呼ばれ、細胞に栄養を与えたり、老廃物を集めたりしています。
この組織液が、そのまま体に溜まらないように、リンパ管がしっかり吸い取ってくれるんです。リンパ管のスタート地点である毛細リンパ管には、「繋留フィラメント」という小さな糸のようなものが付いていて、周りの組織が膨らむと、このフィラメントが引っ張られてリンパ管の蓋が「外開き」になり、組織液を吸い込む仕組みになっています。このおかげで、体のすみずみから余分な組織液がリンパ管に入っていくんです。この繋留フィラメントの蓋はやさしく触れることで開きやすくなり、リンパが流れやすくなります。やさしく触れるさとう式リンパケアはまさに理想的なケアです。
免疫の拠点! リンパ節でチェックポイント通過
リンパ液は毛細リンパ管に吸い込まれた後、どんどん太いリンパ管を通っていきます。この途中に「リンパ節」というチェックポイントがあります。リンパ節は、体のあちこちにあり、免疫細胞が集まっていて、細菌やウイルスをやっつけてくれる場所です。
リンパ節を通ることで、リンパ液はキレイにろ過されて、体の中に侵入した悪いものを取り除いてくれます。
大きなリンパ管に乗って、いざ静脈角へ
リンパ液は次第に太いリンパ管に集まっていきます。右上半身からのリンパ液は「右リンパ本幹」を通って、右の鎖骨下静脈に合流します。しかし、それ以外の部分、つまり左半身と右の下半身からのリンパ液は「胸管」というもっと大きな管を通って、左の鎖骨下静脈に合流します。この違いが体のリンパの流れを面白くしているポイントです。
どちらも最終的には「静脈角」と呼ばれる鎖骨の近くで血液に合流します。つまり、体の中をキレイにしたリンパ液は、最終的に血液の一部になり、再び心臓へと戻っていくんです。
リンパは一方通行! 筋肉がエンジンになる理由
リンパ液は、血液とは違って「一方通行」の旅をします。毛細リンパ管から吸い取られたリンパ液は、常に末端から中心(心臓)へ向かって進むのですが、ここで重要なのは、リンパ液を動かすためのポンプがないことです。
じゃあ、どうやってリンパ液は進むの?
その答えは「筋肉」。歩いたり、体を動かすたびに、筋肉が収縮してリンパ管を押し、リンパ液を進めてくれるんです。リンパ管には逆流を防ぐ「弁」もついているので、リンパ液は常に正しい方向へ進んでいきます。
リンパの不思議な旅に感謝しよう
リンパ液は、毛細血管から漏れた組織液を吸収し、リンパ管を通って静脈角にたどり着きます。体中を巡りながら、免疫細胞と協力して体を守り、最終的に血液に合流するこの不思議な旅。体を動かすことでリンパの流れがスムーズになります。
まめ知識
「耳下腺」「顎下腺」「舌下腺」はリンパ節ではなく、唾液腺です。これらの腺は唾液を分泌する役割です。リンパ節の腫れと混同されることがありますが、機能は異なります。
耳下腺(じかせん): 耳のすぐ前、耳の下あたり。唾液の分泌を助け、特に消化の初期段階で重要です。唾液腺の中でも最大
顎下腺(がっかせん): 顎の下あたり。耳下腺よりも少し小さく、唾液の分泌量が多い。食事中に特に活発になります
舌下腺(ぜっかせん): 舌の下。顎下腺や耳下腺よりも小さいですが、唾液を分泌し口腔内を湿らせる役割を果たします
