フランス人は10着しか服を持たない
みなさんはジェニファー・L・スコットさんの「フランス人は10着しか服を持たない」を読んだことはありますか。もうずいぶん前に発売された本ですが。とても好きな本です。
以前、フランス・トゥールに3週間ほどホームステイに行ったことがあります。フランス語を学び始めたばかりの頃で、旅行ではなくフランスのご家庭で過ごしてみたいという気持ちが溢れてしまい、当時、勤めていた会社のデザインを担当していた私はちょうどフランスの写真が必要だったこともあり、写真をたくさん撮影してきて提供することを条件に、すべての有給休暇を使い、フランスにホームステイをすることにしました。どうせなら、すべて自分でやろうと思い、旅行会社に頼ることなく、ネットでホームステイ先を調べ、フランス語でお手紙を書き、行ったことのないトゥールという街にホームステイをすることに決めました。あまり情報のない街ではありましたが、古城巡りには最適な場所だったこと、パリへは何度か行ったことがあったので、都会から少し離れた場所へ行きたかったことが決め手でした。

実際にフランス人のご家庭でホームステイをしてみて、とても感動しました。とても会話好きで、議論好き、夕食の時間は、食前酒を1杯いただくことから始まり、2時間くらいかけておしゃべりをしながら食事をします。その後はいつも歌を歌ったり、ダンスをしたり。照明は極力つけず、自然光で過ごすため、時の流れもゆっくりと感じて。自然とともに暮らす豊かさを学ばせていただきました。元々カフェでのんびりするのが好きで、フランスやイギリスの家具や雑貨が好きでしたが、質の良いものを長く大切に使い続ける姿勢に憧れました。フランスの方はとてもステキな紳士と淑女です。所作も美しくて、素敵で親切でした。旅行で行っただけでは気付けないことが沢山ありましたので本当に勇気を出して行動して良かったと思っています。
ホームステイをして、「フランス人は10着しか服を持たない」の著書と同じように驚いたことがあります。10着とは言いませんが、洋服はいつも同じようなものを着ていました。とてもシンプルなのですがおしゃれ。自分の個性をよくわかっていて似合う色、形を身につけていました。決して色を外さないセンスの良さが光っていました。そして、お庭はいつも公園のようにキレイ。朝食はパン、カフェオレと毎日3週間同じものでしたが、昼、夜のメニューは3週間一度も同じものはなく、毎回違うお料理をふるまってくれました。
3週間の間に一度だけ、夕食にサラミ、ハム、チーズ、パンだけという手抜きに感じた日もありましたが、そんな時でさえ、味は最高!素材へのこだわりを感じました。「豊かさ」というのは便利なものや高価なものに囲まれて過ごすのではなく、このように過ごすことなのだということを学び、感動して帰国したのを今でもしっかり覚えています。
